一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです。「魔弾の王と戦姫」18巻、それから片桐雛太さんの魔弾画集、11月25日発売です。よろしくお願いします。

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9月24日のお話

 倒産した会社の社長室に入ってみたら、商売繁盛と書かれたおふだが何枚も貼られているたぬきの置物があった……。
 そんな経験はありますか? 僕はありません。幸い。
 九月も終わりに向かいつつあり、ようやく涼しくなってきたと思える今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。それでは「三枚のお札」いってみましょう。おふだ、です。英語でいうならAmulet。ディアブロやスカイリムのユーザーならおなじみですね。おさつ、ではありません。

 昔々ある山寺に、和尚と小坊主が住んでいた。ある日、山の中へ山菜を採りに行く小坊主に、和尚は山姥に気をつけるようにと言って三枚のお札を渡す。
 小坊主はたっぷり山菜を採ったが、いつのまにか日が暮れていた。途方に暮れた小坊主の前に老婆が現れ、家に泊めてくれる。
 夜中に目が覚めた小坊主は、老婆が山姥の本性を現して包丁を研いでいるところを見てしまう。逃げようとしたが見つかってしまい「便所に行きたい」とごまかす。
 山姥は便所の外で待つ。小坊主は一枚の札を便所の壁に貼り「自分の代わりに返事をしてくれ」と頼んで窓から逃げる。
 山姥は便所の外から何度か呼びかけ、札が返事をしていることに気づかず、我慢できなくなって便所に踏みこんでから小坊主が逃げたことを知る。
 山姥はおそろしい速さで小坊主を追いかけ、あっという間に追いつく。小坊主は「川の水、出ろ」と二枚目の札に念じる。すると水が湧きだして洪水が起こる。
 しかし、山姥は川の水をすべて飲み干してしまう。小坊主は「火よ、出ろ」と三枚目の札に念じて業火を出現させるが、山姥は飲んだ水を吐きだして炎を消す。
 ともかく時間を稼ぐことはできたので、小坊主は山寺に逃げきった。和尚が山姥と対面し、言葉巧みにだまして撃退する。
 
 話を聞いてみたら、案外どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
 しかしもっとさー、おふだの使い方があるんじゃないのぉー? スーパーピンチクラッシャーを呼びだすとかさぁー。
 山姥をだますほどの同じ声を出す、洪水を起こす、火を生みだす。バージョンによっては砂山を出現させることもできるようで、使用者次第でいくらでも化けそうです。GS美神の文殊を思いだしますね。
 この三枚のお札で、どう山姥と渡りあうべきだったでしょうか。生半可な火や水では通じないことは小坊主が実証ずみです。
 山寺に帰りたい、で一枚使い、残り二枚を好きなように使うのが正解な気がします。ほら、和尚さまはめっちゃ強いから。銀英伝を見ればロイエンタールだって、ラインハルトにメルカッツの相手をお願いしたことがあったしね。強敵にはそれに勝てるひとをあてればいいんですよ。
 それにしても、これだけ強力なお札をぽんと三枚も渡せる和尚はただものではありません。熟練者とはかくあるべし、というのがこのお話の主題でしょうか。



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by tsukasa-kawa | 2017-09-24 23:31 | 日常雑記