一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです

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10月7日のお話

 拍手レス
>実際あのお話の後の仕立て屋はどうなるんでしょうね…?
王様がわかってて着てるんでなければバレた後絶対追手かかるからパレードが始まった段階でヤベえ!ってなってますよね
もしかしたら王様は仕立て屋に自省を促す為にパレードを行ったのかもしれません賢王だコレ

「裸の王様」の話ですね。いくつかのバージョンでは、仕立屋はパレードがはじまるまえに逃げているんですよね。王様から前金もたっぷりもらっていますし。もっとも、おっしゃる通り、パレード後には追っ手がかかるでしょうし、王様が堂々とパレードを行ったその意図を追っ手から聞かされたら、改心するかもしれません。それだけでひとつの話にはなりそうです。

 それでは、まず挨拶代わりにとある漫画の名台詞を紹介したいと思います。
「ブタはブタ小屋へ行け!」
 ジャンプ漫画の名作「北斗の拳」からです。のちの愛蔵版などでは台詞を変えられてしまいましたが……。
 ほどよくワンクッション置いたところで、イギリスで語られていた民話がおおもとと思われる「三匹の子豚」まいりましょうか。

 三匹のブタが、それぞれ自分の家を作ろうと考える。
 一匹目は藁の家を、二匹目は木の家を、三匹目はレンガの家を作る。三匹の家ができあがったころ、狼が現れる。
 狼は藁の家を吹き飛ばして一匹目をぺろり、木の家も同じく吹き飛ばして二匹目をぺろり。
 しかしレンガの家は吹き飛ばせず、煙突から侵入しようとするが、ブタが煙突の下に仕掛けた大鍋の中に落ちてしまい、釜茹でにされて死ぬ。

 バージョンによっては、一匹目と二匹目はレンガの家に逃げて助かることもあるようですね。
 一匹目と二匹目は、藁や木の家だから狼に食べられてしまったのでしょうか。理由のひとつとしては、それもあるでしょう。三匹目のブタは、レンガの家によって狼の第一撃を防ぎ、反撃のための時間を手に入れていますから。
 しかし、煙突から侵入しようとする狼に対して的確な反撃を行うことができたのは、ブタが機転をきかせたからです。レンガの家にいるからだいじょうぶとたかをくくっていたら、食べられていたでしょう。すぐに大鍋を仕掛けることができたのも、自分の家について知り抜いていたからです。

 たとえば藁の家。藁は濡れると腐ってしまうので、なるべく水はけのよい土地を選び、雨が家の周囲に溜まらないよう溝を掘り、屋根や壁のメンテのために予備の藁を用意する必要があったでしょう。藁を扱うためのピッチフォーク(長柄の農具。昔の戦争で農民がよく使った)や、屋根の藁葺きをするための梯子も備えてあったはずです。また、藁を棒の先端に何本も巻きつけて火をつければ臨時のたいまつになりますし、藁で縄を編めばいくつかの仕掛けを用意することもできたでしょう。
 レンガの家に、煙を外へ出すための煙突が備えてあったように、その家で暮らすのであれば、それにともなって必要なものが設置されているはずです。
 藁の家は軽いので吹き飛ばされる。その通りかもしれません。ですが、それは藁の家の一面でしかなく、その利点や特徴を考えれば、狼が襲ってきたとしても戦いようがあったはずなのです。藁が安価であるというのなら、自分の家に火をつけて炎と煙で狼を退け、その間に逃げるという手もあるでしょう。
 昔話のひとつの面が、恐ろしい存在に知恵で打ち勝つことであれば、このお話もまた、知恵を尽くすことの重要性を伝えようとしているのかもしれません。



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by tsukasa-kawa | 2017-10-07 01:12 | 日常雑記