新刊紹介・他
2017年 10月 13日
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>北風と太陽は誰かと協力し合う事の大事さも読み取れる気がします。
勝負という形になってますけど北風と太陽というコンビとして見ると結果全勝ですしね。
たしかにそうですね。異なる能力や技術を持ったコンビの活躍は物語の王道でもありますし「北風と太陽」は勝負を2回とも描き、それぞれの長所を見せることで完成するのでしょう。
さて、本日はGA文庫の発売日だそうですね。
手島史詞 魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。
手島さんの新作は「左手に拳銃を握って右手で握手をするような人類に優しい少年が、大好きな女の子と敵勢力のクソ田舎で村人たちと仲良く新婚生活(仮)をする、アットホームなスローライフファンタジー」(あとがきより)だそうです。興味のある方はぜひ。
さて。
ひとには言えない秘密をお持ちですか。ついうっかり知ってしまった内部事情、おまえだけにと告げられた内緒話、丹念な調査の末に突き止めた真実、誰にも言えない事件の真相、知られたくない過去の恥。
そういった秘密をひとりで抱えることに耐えきれず、誰かに打ち明けたことはありますか。
では、ギリシア神話はミダス王のエピソードのひとつ「王様の耳はロバの耳」です。
ある事件から、神によって耳をロバのそれに変えられてしまった王様は、そのことを隠して日々を送っていました。ですが、理髪師が王様の髪を整える際、ロバの耳に気づいてしまい、誰に打ち明けることもできず、木のうろに叫んだら、木のうろから「王様の耳はロバの耳」と聞こえるようになったという話ですね(誰もいない草原に向かって叫び、そこに生えていた葦がロバの耳を連呼したんバージョンもある)。
このことは瞬く間に広まってしまい、王様は犯人をさがさせ、理髪師を捕らえますが、考え直して助命します。すると、耳は元に戻りました。
秘密というものは、一度、外へ出してしまえば、もはや広まるのを防ぐことなどできないということなのでしょう。このひとならばだいじょうぶだろう、という考えは通用しません。木や草でさえ、黙っていられないのです。
偽の秘密のパターンをたくさん、だいたい23、4ぐらいつくってごまかすという手もありますが、それは一時しのぎにしかなりませんし、本当の秘密を知ってしまった者からは反発や軽蔑を買うことになるでしょう。
多くのひとに知られず、闇に葬られた秘密は数多くあると思われます。ですが、ひとが未来を完全に見通すことができない以上、いま誰かの抱える秘密がそのようになるかはわからないのです。それならいっそ、王様のように認めてしまい、寛容さを示すことで開ける道もあるのやもしれません。
それにしても、木なり草なりが騒ぐようになってからの理髪師は生きた心地がしなかったでしょう。秘密を抱えるというのは、難しいものです。
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>北風と太陽は誰かと協力し合う事の大事さも読み取れる気がします。
勝負という形になってますけど北風と太陽というコンビとして見ると結果全勝ですしね。
たしかにそうですね。異なる能力や技術を持ったコンビの活躍は物語の王道でもありますし「北風と太陽」は勝負を2回とも描き、それぞれの長所を見せることで完成するのでしょう。
さて、本日はGA文庫の発売日だそうですね。
手島さんの新作は「左手に拳銃を握って右手で握手をするような人類に優しい少年が、大好きな女の子と敵勢力のクソ田舎で村人たちと仲良く新婚生活(仮)をする、アットホームなスローライフファンタジー」(あとがきより)だそうです。興味のある方はぜひ。
さて。
ひとには言えない秘密をお持ちですか。ついうっかり知ってしまった内部事情、おまえだけにと告げられた内緒話、丹念な調査の末に突き止めた真実、誰にも言えない事件の真相、知られたくない過去の恥。
そういった秘密をひとりで抱えることに耐えきれず、誰かに打ち明けたことはありますか。
では、ギリシア神話はミダス王のエピソードのひとつ「王様の耳はロバの耳」です。
ある事件から、神によって耳をロバのそれに変えられてしまった王様は、そのことを隠して日々を送っていました。ですが、理髪師が王様の髪を整える際、ロバの耳に気づいてしまい、誰に打ち明けることもできず、木のうろに叫んだら、木のうろから「王様の耳はロバの耳」と聞こえるようになったという話ですね(誰もいない草原に向かって叫び、そこに生えていた葦がロバの耳を連呼したんバージョンもある)。
このことは瞬く間に広まってしまい、王様は犯人をさがさせ、理髪師を捕らえますが、考え直して助命します。すると、耳は元に戻りました。
秘密というものは、一度、外へ出してしまえば、もはや広まるのを防ぐことなどできないということなのでしょう。このひとならばだいじょうぶだろう、という考えは通用しません。木や草でさえ、黙っていられないのです。
偽の秘密のパターンをたくさん、だいたい23、4ぐらいつくってごまかすという手もありますが、それは一時しのぎにしかなりませんし、本当の秘密を知ってしまった者からは反発や軽蔑を買うことになるでしょう。
多くのひとに知られず、闇に葬られた秘密は数多くあると思われます。ですが、ひとが未来を完全に見通すことができない以上、いま誰かの抱える秘密がそのようになるかはわからないのです。それならいっそ、王様のように認めてしまい、寛容さを示すことで開ける道もあるのやもしれません。
それにしても、木なり草なりが騒ぐようになってからの理髪師は生きた心地がしなかったでしょう。秘密を抱えるというのは、難しいものです。
おはようございます。国外の昔話というと、王様の耳はロバの耳がありますが、木のうろに真相を叫んでしまった理髪師は、事件がおさまるまで生きた心地もしなかっただろうと思うと、秘密を守ることのしんどさをしみじみと感じます。それでは本日もお仕事に。
— 川口士 (@kawaguchi_tsu) 2017年10月11日
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by tsukasa-kawa
| 2017-10-13 23:58
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