一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです。「魔弾の王と戦姫」18巻、それから片桐雛太さんの魔弾画集、11月25日発売です。よろしくお願いします。

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10月22日のお話

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>ミダス王はロバの耳にされるエピソードといいそれの原因になる精神性を獲得したエピソードといいかなり粗忽な人だったようですね。そんな人でも寛容になる事ができた、成長する事ができたというのもこの話の肝かもしれません。
 王様の耳はロバの耳からですね。さわるものが黄金になってしまうエピソードや、このロバの耳でもそうですが、ミダス王はよくも悪くも根が素直なのだと思います。欲にかられて失敗もするし、状況が理解できれば自分の非も認められると。失敗と克服を経て、王様は少しずつ成長していったのかもしれませんね。

 さて、外では台風がすさまじい勢いだったり選挙結果が出たりと慌ただしいですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。どうか、被害が少なくすみますように。
 今宵はグリムから「赤ずきん」です。ところで「その女の子はみんなから赤ずきんと呼ばれていました」って、銀魂の新八がメガネって呼ばれるようなアレさだと思うんだけど……。まあいっか、童話だし。あらすじはみんなご存じだと思うので割愛。マジカルプリセンスとかおとぎ銃士とかヴァンパイアとか関係ないから。関係ないからー。

 注目すべきは狼の行動です。まず、森で赤ずきんに遭遇すると、情報を引きだしつつ道草を勧め、その間におばあさんをぺろり。おばあさんの家にやってきた赤ずきんを、おばあさんに化けることで油断させてぺろり。
「赤ずきん」は狼が性的な意味で女の子をいただく話なのだよという説がありますが、だとすればババアから少女までいけるこの狼はテクニシャンというだけに留まらず、目的のためにはばあちゃんとまでやることをやれる、鋼の意志を持つオスです。脱線しました。話を戻しましょう。

 赤ずきんがおばあさんのところへ出かけるとき、お母さんが「道草をしないように」とか言いますが、的外れですよ。だって、この狼、強すぎるんだもの。そもそも至近距離だと人間を一呑みできるだけの力があり、その上、奸智に長けている。ぶっちゃけ、赤ずきんに道草させたり、おばあさんに化けたりしないでも何とかなったんじゃないの。そりゃあ最後に猟師が出てきて鉄砲でズドンとやらなきゃ勝てませんよ。もしくはジェームズ・サーバーのパロディ版赤ずきんのように、狼がおばあさんに変装していることを見抜くや拳銃でズドンとやるとか。
 お母さんが赤ずきんに与えるべきは、そんな呑気な助言ではなく、狼とやりあえる武器か、人手だったのでしょう。「三匹の子豚」の三匹目はレンガの家という堅固な城砦を持ち、「狼と七匹の子ヤギ」の母ヤギは超人的な解体術を持っていたから、狼を撃退できたのです。赤ずきんという要素を活かすなら、マスターキートンよろしく、ずきんを腕に巻いて狼の口の中に手を突っこみ、舌を指でつかんで……あれは犬だっけか。
 しかしながら、何の能力もない非力な少女だったからこそ、後の世の人々が想像をあれこれふくらませたのも事実。その点では、この子は非常に童話の主人公らしいといえるのかもしれません。



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by tsukasa-kawa | 2017-10-22 23:18 | 日常雑記