一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです。「魔弾の王と戦姫」18巻、それから片桐雛太さんの魔弾画集、11月25日発売です。よろしくお願いします。

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新刊紹介・他

 拍手レス
>画集にある短編小説は、本編の後にストーリーですね。期待されます。王になった後、ティグルと戦姫たちの物語でしょうか? by 김영재
 ネタバレになってしまうので詳しいことはお話しできませんが、だいたいその通りです。楽しんでもらえたらと思います。

>もうじき魔弾最終巻ですね。毎度本当に楽しく読ませていただいてるので終わるという興奮と終わってしまうという寂しさと半々であります。
開けゴマは今や情報社会において半ば常識となった情報もまた財であるという事を昔なりに教えとして残すものだったのかもしれませんね。

 6年半もの間、魔弾につきあってくださって本当にありがとうございます。最終巻の発売まであと数日ですが、期待にお答えできる出来であればと。開けごまについては、その可能性もありそうですね。「アリババと40人の盗賊」の後半も、盗賊たちの情報を上手く手に入れたモルジアナが活躍する話でした。
 
>こんにちは。自分も昔から疑問に思っていましたが、胡麻ではなく、護摩なのではないかと考えています。祈祷ですね。秘密の呪文を訳すときに、護摩にしたのでは、と。根拠は何もないですが(苦笑) by 神崎みさお
 現地の言葉ではごまをシムシムと言いますが、シムシムには他の意味もあるのではないか、何らかの祈りの言葉に由来するのではないか、という説もあるそうです。ある種の文字や言葉が魔除けの力を持つという考えは、地域や文化の中にいまでも根強く残っていますし、その考えもおおいにありだと思いますよ。

 やあやあ一週間ぶり(ぬけぬけと)。更新しようしようとと思っていたのですが、どうも細かい用事がぱらぱらとあって落ち着かず、急な寒さからの疲れなどもありまして、なんだかんだ今日に至ってしまいました。いや、ごめんなさい。告知とかいろいろあるんですけどね。
 というわけで、もう5日前になってしまいましたが、17日は富士見ファンタジア文庫の発売日でした。
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石踏一榮  ハイスクールD×D24
      堕天の狗神 -SLASHDOG-

 石踏さんが二冊同時刊行ですよ。アニメ新シリーズも決まったハイスクールD×Dは表紙の通り白猫と黒歌回、リアスチームとヴァーリチームの戦いが繰り広げられます。そしてD×Dと世界観を同じくする新作、といっていいのかな、11年前に出した作品をリブートしたSLASHDOG。こちらはD×Dの4年前の世界のお話のようです。興味を持たれたら是非。

 そして、拙著「魔弾の王と戦姫」18巻の見本をいただきました。
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 今週末25日(土)発売となります。こうして並べてみると、長い戦いであったとあらためて思います。その戦いにつきあってくださったみなさん、ありがとうございます。どうか最後までともに歩んでいただければと。

 さて、もう一ヵ月近く前になりつつありますが、グリム童話から「かえるの王様」です。ものによっては「かえるの王子様」「鉄のハインリヒ」などと呼ばれることもあるとか。しかし、蛙ほど、マスコットになったり、不気味な生物として嫌われたりする生きものもなかなかないんじゃないでしょうか。服に張りついたり変身王子やったり宇宙軍人やったり、そういやクロノ・トリガーのカエルは頼もしい仲間だったなあ。脱線しました。「かえるの王様」はこんな話です。
 
 ある国の王女が、泉に金の鞠を落としてしまう。そこへかえるが現れて「自分を友達にして、同じ皿で食事をし、同じベッドで眠らせてくれるなら、鞠をとってあげる」と持ちかける。王女は鞠を取ってほしいあまり、うなずくものの、鞠を取ってもらうと、かえるをその場において帰ってしまう。
 王女がお城で食事をとっているところへかえるが現れ、約束の件を持ちだす。事情を聞いた王様は王女に約束を守るよう命じ、王女は仕方なくその言葉に従う。
 寝室に入ったところで、我慢の限界に達した王女はかえるをつかまえて壁に叩きつけるが、それによって呪いが解け、かえるは王様の姿に戻る。
 元かえるの王様は無礼を詫び、求婚して二人はめでたく結ばれる。
 翌朝、元かえるの王様の国から家来のハインリヒが迎えに現れる。ハインリヒは王様がかえるにされてから、悲しみで胸が張り裂けないように鉄の帯を巻いていたが、それが喜びによってはじけ飛ぶ。

 元かえるの王様(こう言わないとややこしくてね)さあ、友達に対する要求がちょっと高くないですかね。同じ皿で食事をして、同じベッドで眠るのはかなり親しくてもそうそうないのではないでしょうか。しかし、約束なのだからと王女の父が命じるあたり、このお話ではそれが普通なのかもしれません。たしかに筋は通っていて父親としても王様としても立派なのですが……。
 バージョンによっては同じベッドで寝るのではなく、かえるに王女がキスすることで呪いが解けるものもあるようですが、ロマンチックに見えて、ハードルが高くなっただけですよね、それ。呪いが解けたあとも、かえるとキスした女って陰口を叩かれることは必至です。
 壁に叩きつけるのはさすがにやり過ぎだとしても、王女の気持ちはわかります。かえるが喋るのは、まあそういう世界なのだとしても(そのこと自体には王女も驚いていないし)、ここまで図々しいと腹も立ちますよ。王女にとっては大事なものかもしれないので、たかが鞠とは言いませんが、かえると同じ皿で食事はきつい。

 それにしても、王様と、王様をかえるに変身させた魔女(バージョンによっては魔法使いともされているのですが、ここでは魔女にします)との間には、どのような因縁があったのでしょう。王様の行動から、呪いを解く方法を読み取っていくと「王女と友達になり、同じ皿で食事をし、同じベッドで眠り、潰される」となるわけです。実際には同じベッドで眠っていないので「王女の寝室で、彼女に殺される」あたりなのかもしれません。呪いが解けるまで事情を話さなかったことから、それについて言うことができない、というのもありそうです。
 考えれば考えるほど厳しい条件です。喋ることはできるし、かえるというだけで怖がられることもないので、友達になることは可能かもしれません。ですが、同じ皿で食事をするというところから、ぐっと厳しくなります。魔女は、おそらく王女の性格も読んでこの条件を設定したのでしょう。王女の父がいなければ、王様は詰んでいたのですから。
 もっとも、困難なものとはいえ、わざわざ条件を設定したあたり、魔女からは意地の悪さだけでなく、王様に機会を与えようという心情がうかがえます。それこそ魔女は、王様の友達であり、同じ皿で食事をし、同じベッドで眠る間柄であったのかもしれません。それなら、友達に対する要求が高いのも何となく理解できるのですよね。もとの話にはそういった点が書いておらず(書く必要もなかったのでしょうが)、不明のままですが。
 まあ、王女に対するアプローチを見ると、何かやらかしそうではあるんですよね、この王様。なりふりかまわず強引な手段とか普通にとりそう。
 王女と結ばれたあとも、はたしてめでたしめでたしと言える日々が続いたのか。このお話は、ここで終わっておいて正解だったのかもしれません。



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by tsukasa-kawa | 2017-11-22 02:47 | 新刊紹介