一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです

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9月22日のお話

 ファウストは、メフィストフェレスに心を売って明日を得た。マクベスは、三人の魔女の予言に乗って地獄に落ちた。キリコは素体に己の運命を占う。ここ、ウドの街で明日を買うのに必要なのは、ヂヂリウムと少々の危険。次回「取引」。
 惑星メルキアにかぎらず、ものを得るには対価が必要です。それは昔話の世界でも変わりません。いえ、むしろよりシビアであるといえるでしょう。そして、対価が妥当なものであるかどうかは、そのひと次第でしかないのです。
 などと、名作をネタに使ってもっともらしい挨拶をすませたところで「鉢かづき」です。地域によっては「鉢かつぎ」「鉢かぶり姫」などといわれていまして、そちらの題名だったら聞いたことがあるという方もいるかもしれません。

 昔々、ある長者が観音様に女の子を授けてほしいと祈願した。観音様は聞き届け「娘が一定の年齢に達したら鉢をかぶせなさい」と長者の妻にお告げをくだした。
 娘が生まれて美しく成長する。娘が一定の年齢に達したとき、母親は重い病にかかっていたが、息を引き取る前にお告げに従い、娘に鉢をかぶせる。鉢はどうやっても外れず、壊れもしない(以後、彼女を鉢かづきと呼ぶ)。
 その後、長者は後妻をむかえるが、後妻は鉢かづきをいじめぬく。悲嘆にくれた鉢かづきは川に身を投げるも、鉢が浮いて身体が沈まず、京に流れ着く。
 みすぼらしい姿であてどもなく京の町をさまよう鉢かづきを見て、中将(ようするに偉いひと)が同情し、引き取る。鉢かづきは中将の屋敷で風呂焚き女として働くことになる。
 鉢かづきは一生懸命に働き、やがて中将との間に愛が芽生える。
 中将の家族は当然その恋愛に反対し、中将の兄弟の嫁を連れてきて「嫁くらべ」をしようと持ちかける。嫁くらべとは、嫁を並べて和歌を詠ませたり琴を弾かせたりして、技量を競うものである。
 嫁くらべの前夜、鉢かづきと中将は駆け落ちしようとする。そのとき、鉢かづきの鉢が外れ、美しい顔が露わになる。さらに、鉢かづきは和歌も琴も巧みにこなした。
 鉢かづきと中将は結ばれる。めでたしめでたし。

 鉢て。観音様じゃなくて、観音様の形をしたベヘリットか何かに祈ったんじゃないのこれ。いやはや神頼みなんてするもんじゃないですね。
 しかもこの鉢、風呂焚き女として働いているからにはものを見ることも食事をとることもできる仕様なのに、鉢が外れるまで誰もその美しさに気づかない=顔が見えないらしいという代物。車田正美の漫画かな? まあ容姿がわかりにくいということにしなければ、中将は鉢かづきの美貌に関係なく、その健気な働きぶりを見て惚れたということにできませんからね。働かない美人よりは働く変人ですよ。
 神頼みによって子を授かる昔話だと、これまでに語った中では「一寸法師」がありますが、彼もまた生まれながらに全長約三センチの人間であり、打ち出の小槌を手に入れるまで成長しませんでした。
 彼といい、鉢かづきといい、本来生まれるはずのなかった子が、この世に生を受けたことの対価として理不尽な人生を与えられた、ということなのか。しかし、両者とも最終的にはごく普通の人間になって、又は戻っています。
 であるならば、試練を課されたと見るべきでしょう。一寸法師は娘を守って鬼を追い払い、鉢かづきは駆け落ちをするほどの覚悟を決めました。彼女の場合、ものによっては駆け落ちをせず「嫁くらべ」に出ることを決意する瞬間に鉢が外れた、という話もあるので、愛する者と添い遂げる意志を持つ、というあたりが試練を突破する条件であるように思われます。
 ひとの運命は神が遊ぶ双六だとしても、あがりまでは一天地六の賽の目次第。理不尽さに嘆きたい日があったとしても、それに屈さず、困難をくぐり抜けようと力を尽くすこと。それを描いたのがこの物語なのでしょう。一寸法師と鉢かづきとで条件が違ったように、ひとによって突破するべき条件は異なるでしょうから、まずはそれを見極めねばならないのでしょうけれど。
 そして、お天道様が見ている、といいますが、彼らは案外、人間たちが試練を突破する瞬間を心待ちにしているのかもしれません。劇的な瞬間を狙いがちなのは、待ち続けた対価、なのでしょうか。



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# by tsukasa-kawa | 2017-09-22 07:01 | 日常雑記

9月20日のお話・他

 あちきぃー、結婚相手はぁー、年収1000万でないとやだぁー。
 そんな、煮立った味噌汁で顔洗ってこいやと言ってやりたくなるような輩は幸い僕のまわりにはいませんでした。今日も界隈は平和です(まわりにひとがいないだけじゃないかな?)。
 さておき、今日は富士見ファンタジア文庫の発売日なのでした。
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葵せきな   ゲーマーズDLC

アニメ放映中のゲーマーズ。ドラマガに連載した短編に書き下ろしを加えた外伝です。興味を持たれたら是非。


 さて、結婚は古今東西、そういう文化ができた地域においてネタにされないことがないぐらいの代物ですが、昔話においても例外ではありません。当事者同士の自由意志による恋愛結婚がごく少数で、基本的には親や家が相手を決めていた時代であっても、困難はやはりあったのです。それでは始めましょうか。「ねずみの婿取り」。流れはこんな感じです。

 あるねずみが、そろそろ娘に婿をとらせようと考え、せっかくだから天下一の者を婿にしたいと思い立つ。
 太陽こそは世に並ぶものがないだろうと考え、交渉に向かうも「私は雲が出てしまうと無力だから、雲を婿にしてはどうか」と言われる。
 それではと雲のところへ向かうと「私は風に吹かれると無力だから、風を婿にしてはどうか」と言われる。
 それではと風のところへ向かうと「私は土塀を吹き飛ばせず無力だから、土塀を婿にしてはどうか」と言われる。
 それではと土塀のところへ向かうと「私はねずみにかじられると無力だから、ねずみを婿にしてはどうか」と言われる。なるほどと、父親ねずみは、ねずみを婿に取った。

 たらいまわし! 見事なたらいまわしです。どいつもこいつも無機物の分際で、自分を卑下して面倒ごとを回避し、よそへぶん投げるサラリーマン的小技を巧みに披露しています。そもそも太陽とねずみが結婚したらどうなるんだろう。ねずみのロースト一丁あがりで終幕なんじゃないか。
 とはいえ、娘にできるだけいい婿を迎えたいという父親ねずみの心情はわかります。結ばれれば長いつきあいになるんだから人選にもそりゃあ気を遣いますよね。
 問題は、たらいまわしにされるぐらいに要求が漠然としすぎていたところにあったのでしょう。父親ねずみには、何をもって天下一とするかの基準がありません。ですので相手の主張を受け入れるしかなく、次々によそへまわされてしまうのです。
 太陽、雲、風、土塀の力関係でいえば、太陽は風に揺らぐことがなく、位置によっては土塀に遮られずに地面を照らすこともできる。雲に遮られることにしても永遠ではなく、いつかは姿を見せるのです。同じことは雲、風、土塀にももちろんいえます。

 結婚は、夫と妻が協力して新たな生活をつくりあげるものです。家父長制が強かった時代は、家同士の話しあいで新たな生活がつくられることもあったでしょう。その善し悪しは置いておくとして、重要なのは新たな生活のイメージです。自分だけでできるものではないのですから、おたがいのイメージを交換し、尊重できるところは尊重し、譲れないところは譲らず、受け入れるべきは受け入れる。それができなければ、たとえ形を作っても長続きはしないでしょう。
 それを思えば、生活や価値観が同じか、あるいは非常に近いであろうねずみを婿に選んだこの結末は、笑い話のオチという以上のものがあるのかもしれません。



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# by tsukasa-kawa | 2017-09-20 21:40 | 日常雑記

9月19日のお話

 空を自由に飛びたいな、というフレーズを聞いたら、ドラえもんといっしょにリアルバウトハイスクールを思いだす世代のおっさんです、こんばんは。世代は関係ないですね、おっさんです。
 連休も終わり、九月も残すところあと三分の一ほどになったというのに、なんであの先生は諦めずに夏休みの宿題を催促してくるんだろう絶対に出さねえ、それにしても週末の体育祭めんどくせーな、などと物思いにふけることの多い夜、いかがお過ごしでしょうか。
 いかにも優しげな語り口調が売りなDJっぽい挨拶を終えたところで、今回は(天に向かって)空を自由に飛んでいってしまった人妻のお話。「天の羽衣」です。これも有名な話の類に漏れず、地域ごとに細部の違う話がたくさんあるわけですが、大雑把に語るとこうなりますかね。

 狩人の男が山奥の泉に行くと、水浴びをしている女性を発見する。彼女の美しさに見惚れた男は、茂みに隠れてしばらく覗きを続ける。
 女性のものだろう羽衣が水辺に置かれていることに男は気づいて、それを盗む。
 女性は水浴びをすませるが、自分の衣が見当たらない。慌ててさがす女性の前に、男が姿を見せる。
 女性は自分が天女であることを明かし、その羽衣がないと天に帰れないと訴える。男は羽衣を返さないと言い、妻になってほしいと口説く。
 天に帰れなければ他に行き場のない天女は、仕方なく男の要求を受け入れる。
 ある日、天女は男が隠していた羽衣を偶然発見してしまい、天に帰る。

 見事な因果応報です。昔話にもけっこう人格のよろしくないひとはいますが、覗く、盗む、脅すと三拍子そろった男はなかなかいないのではないかと思われます。バージョンによっては見せつけて口説くのではなく、羽衣など知らないふりをして口説く話もありますが(最終的に夫婦生活の中で隠していた羽衣が見つかるのは同じ)、その場合は脅す代わりに騙しているわけで、悪辣なことには変わりありません。

 もっとも、男が天女に惚れこんだのは本当のようで、いろいろとあたってみた範囲では、結婚生活が悲惨だったというバージョンは見当たらず、ものによっては二人はお互いを支えあって仲睦まじく暮らした、という話まであるので、発端はともかく、天女もどこかのタイミングで男を受け入れたのでしょう。ご都合主義? まず天女の存在がご都合主義でしょうが。わざわざ地上に降りて水浴びするぐらいなら周辺に結界とかバリアとか張ってくださいよ。
 というか、本当に天女なのでしょうか、この子。ギリシア神話の女神アルテミスは、自分の水浴びを覗いたアクタイオンを鹿に変え、猟犬をけしかけて容赦なく殺しました。天女も熊か猪をけしかけるぐらいしてよかったと思うのですが、この天女、羽衣を取り戻すまで天女らしいことを何もしません。羽衣が本体かおまえ。それともポケットがなくなったドラえもんか。話を戻しましょう。

 ただ、それほど仲睦まじい夫婦生活ならば、なぜ羽衣が見つかった途端に天女は帰ってしまったのかという疑問はあります。
 ひとつは、昔話としての因果応報が考えられます。上にも書いた通り、男は決して正当な手段で天女を得たわけではありません。その報いを、彼はどこかで受けなければなりませんでした。欲張り爺さんが必ず痛い目を見るように。羽衣が見つかるのは必然だった、ということです。

 もうひとつは「羽衣を手に取る」ことが、彼女を天女にする、という可能性です。
 天女は、自分が天女であることを男に明かすときに言います。「羽衣がなければ天に帰れない」と。これは脅される場合にも騙される場合にもほぼ共通しています。それは「羽衣を手に取ったら必ず天に帰る」という誓約だったのではないでしょうか。たとえば雪女が、喋ってはいけないという約束を破られた瞬間、雪女に戻ってしまったのに似て。

 男も、長い結婚生活で気が緩んでいたのでしょうか。この生活がいつまでも続くと思ってしまっていたのかもしれません。羽衣を、それこそ天女がいないときに、家の床下深くにでも埋めていたら、また話は違った流れを見せていたのでしょうか。
 


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# by tsukasa-kawa | 2017-09-19 23:59 | 日常雑記

9月18日のお話

 拍手レス
>年を重ねた古い竜はより格の高い竜へと進化するという話はよく聞きますが乙姫が龍の価値観で玉手箱を託したのならお礼にクラスチェンジさせてあげましょうぐらいの心持ちだったのでしょうか
 浦島太郎の話ですね。たしかにそれもありそうです。人間でクラスチェンジとなると、仙人にしてあげようというあたりでしょうか。中国の説話の中には、ある人間が仙人になったとき、身体は煙に包まれて跡形もなく消え去り、後には服しか残っていなかったという話もありますからね。

 さて、いろいろな日本昔話を語ってきていますが、鬼と並んで恐ろしい存在である山姥が出てきたものは、まだなかったですね。金太郎の母親が山姥だったという説があるぐらいかな。
 山姥というと、どんなイメージでしょうか。字面でいえば山の老婆ですからね。20年ぐらい前に渋谷にたむろしていた面白化粧の女の子らとはむしろ対極にあるといっていい。昔話における一例としては、旅人を泊めた夜に、台所で不気味な笑い声をあげながら大きな包丁をしゃりしゃり研いでいる老婆のイメージがわかりやすいでしょうか。
 人間に近い姿を持ちながら人間ではなく、怪力など人間にはない力の持ち主。それが山姥です。人間を好んで喰らうタイプのおっかない山姥もいれば、山に入った人間から事情を聞いて幸運を授けてくれるタイプもいるので、老婆の姿を借りた山の精霊と考えるべきかもしれません。

 とまあ、前振りも終わったところで人間を喰らうタイプの山姥が出てくる「天道さんの金の鎖」です。地方ごとに割と細かくタイトルが違うので、このタイトルでは馴染みの薄いひともいるかもしれませんね。「お月さんと金の鎖」「親子星」などがあります。大筋はこんな感じですか。

 ある日、母親が三人の子供に留守番を頼んで山へ薪拾いに行く。母親は山で山姥に遭遇し、食われてしまう。
 山姥は子供たちのいる家へ行き、言葉巧みに母を装って中に入りこむ。そして、夜になるのを待って三男を食べてしまう。
 暗がりの中でその音を不審がった長男に、山姥は適当にごまかす。自分にもくれとせがむ長男に、山姥は三男の指を放る。
 母親ではなく山姥だと悟った長男は、次男を連れて逃げる。山姥はそれに気づいて追いかけてくる。
 追い詰められた長男は、天の神に祈る。すると、金の鎖が天から降りてきて、長男と次男はそれにつかまって逃げる。
 追いかけてきた山姥も、同じく神に祈る。すると、腐った縄が天から降りてきて、それにつかまって山姥は長男たちを追おうとしたが、縄が切れて地面に落ちて死ぬ。

 食い残した指を放って正体がばれたり、腐った縄に飛びついて落下したり、この山姥はかなり隙だらけです。とはいえ、年端もいかない子供たちでは、これぐらいの相手でなければ「オレサマオマエマルカジリ」と立て続けに喰われて話が終わっていたと思うので、これぐらいがいいのでしょう。
 しかし、さすがに腐った縄が降りてきた時点で、山姥は諦めるべきでした。天の神もここまで露骨に追うなと警告してくれているのは、かなりの温情と言わざるを得ません。それでもなお山姥が子供たちを追おうとしたのは、あるいは正体を見破られたためでしょうか。この縄でもいけると過信したのでしょうか。
 バージョンによっては、金の鎖をのぼっていった子供たちは星になります。見方を変えるなら、天の神のものになるということです。
 山姥が山の精霊(善悪は置いて)であるならば、自分の獲物を天に奪われないために無理をしたのかもしれません。



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# by tsukasa-kawa | 2017-09-18 23:59 | 日常雑記

9月17日のお話

 アーマーゾーン!
 強くてハダカで速い奴! ええ、金太郎のことです。日本でも屈指の有名な昔話とあってバージョン違いも実に豊富なんですが、ともかくいってみましょうか。
 一般的な金太郎のイメージは、菱形の腹掛けを身につけ、まさかりを担ぎ、熊を乗りまわして野山を駆けまわっているというものではないでしょうか。熊と相撲をとって勝利するあたり、ゴールデンカムイの牛山さんと互角以上に戦える傑物であることはたしかです。

 そんな金太郎の親は何者なのか。多くは「昔々、足柄山に金太郎と呼ばれる男の子がいました」と、両親の存在をガン無視するところからはじまるのですが、親について書かれているものもいくつかあり、足柄山に住む彫り物師の娘と、京の宮中の役人との間に生まれた子であるとか、その彫り物師の娘が赤い龍に授けられた子であるとか、雷神と山姥の間に生まれた子だとか、そもそも親については「心優しい母」ていどにしか語られず詳細は不明といった話が伝わっています。ただ、動物と言葉をかわし、熊に勝てる剛力の持ち主であるところから考えても、特別な存在が関わっているのは間違いないでしょう。

 金太郎の友達は山の獣ばかりで、金太郎は彼らと日々を過ごしながら、大木を倒して橋代わりにしたり、熊と相撲をとって勝つなど、随所でその怪力ぶりを発揮します。そして、足柄山を訪れた源頼光に声をかけられ、京に行って武士となるのです。

 しかし、京に行って以後の金太郎の活躍は、有名な酒呑童子との戦いしか語られません。ものによっては「武士になった」で終わりとするものもあります。
 酒呑童子との戦いも金太郎が主役というわけではなく、頼光が主で、彼に仕える四天王のひとりという役どころです。同輩である渡辺綱には、鬼の腕を切り落としたという逸話があります。金太郎にはそういった話がありません。
 頼光たちと酒呑童子の戦いは、山伏に扮した頼光たちが不思議な酒の力でもって酒呑童子を弱らせて打ち倒すというものです。金太郎得意の剛力が発揮されたという話はやはりありません。
 なぜ、そうなってしまったのでしょうか。
 考えられることはいくつかあります。
 金太郎の剛力が埋没するようなものであったということ。ぶっちゃけるなら井の中の蛙、もう少し今風にいうなら少年ジャンプの「世界の広さを知ったか?」的展開。金太郎は、たしかに足柄山では最強でした。しかし、京という広い世界へ行ってみると、上位には必ず入れるが、頂点ではなかった。彼がついに四天王のひとりとして終わってしまったことが、それを証明しているように思えます。もちろん、それでも立派で偉大なことではあるのですが。
 または、彼の活躍が伝わりにくいものだったこと。彼の武器は刀ではなくまさかりであり、戦い方についても、熊相手に相撲をするぐらいですから、武士たちからも理解されがたいものだったのかもしれません。
 京での、武士としての生活が肌に合わず、そのために剛力も発揮できなければ活躍もできなかった可能性はありますが、金太郎は武士として生き続けており、故郷に帰ったというものはありません。それとも、活躍できずに故郷に帰ってしまったからこそ、先を語られなかったのでしょうか。
 あるいは、金太郎は少しずつ京での生活に武士として溶けこむ中で、特異性を失っていったのかもしれません。たとえば一寸法師は、最終的にただのひととなることで特異性を失いました。金太郎もただの武士となったことで、四天王のひとりであることを除けば、その先を語られる存在ではなくなったのかもしれません。



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# by tsukasa-kawa | 2017-09-17 23:59 | 日常雑記