一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです

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8月20日のお話

 ついに古典的怪談に手を出してしまいましたよ。まあお盆の時期も過ぎ去ったし、灯籠流しの記事もちらっと見たしで、タイミング的にはちょうどいいかなとも思いまして。
 で、牡丹灯籠です。本来は長編で、幽霊はどっちかというと添え物じゃないのという感じのドロドロした人間ドラマが展開するのですが、牡丹灯籠の名で広く知られているのは、その本編から一部を切り取って短編化したものではないかと思われます。古典だけあってバリエーションがえらく広いのですが、
・お盆の夜、浪人の新三郎のもとに旗本の娘であるというお露が会いに来て、二人は恋仲になる。
・牡丹灯籠というのは、お露が持っている灯籠から。
・新三郎は日ごとにやつれていき、それを心配した陰陽師が話を聞いて、お露が怨霊であると看破する。
・陰陽師の友人の和尚が用意してくれた仏像とお札で、お露が近づけないようにする。
・お露、新三郎の下男の伴蔵に接触して交渉。伴蔵の妻のお峰が「金百両くれたらやるよ」と答える。
・お露、金百両を用意する。
・伴蔵とお峰、お札をはがし、仏像を偽物とすり替える。
・翌朝、新三郎が死んでいるのが発見される。
 基本的にはこんな流れでしょうか。お露の用意した金はとあるところから盗んだものだったり、毎晩お露に呼びかけられた新三郎が、騙されて、あるいはお露への想いに負けて自分から彼女に会って命を落とすというパターンもあるようですが、どのパターンだろうが新三郎は死にます。どの選択肢を選んでも死ぬゲームのようです。ホラー映画でいうならバッドエンドですよ。お露視点で見ればハッピーエンドですが。
 それにしても、実体は骸骨なのに新三郎に対しては生きた頃の姿を見せたり、お札を使われたら下男に接触して打開策を図ったりと、この怨霊、かなりアグレッシブです。ここまでやってくると、まあ仕方ないんじゃないのという気すらしてきます。もし下男夫婦が言うこと聞かなくても、絶対に別の手打ってくるよこいつ。金まで用意できるんだもの。
 この執着心、さらに憑き殺そう=自分の側に無理に合わせるということを考えると、お露は元祖ヤンデレというべきかもしれません。
 幽霊が幽霊として存在しながら、当たり前のように主人公の側にのほほんと居候できる漫画や児童書、ライトノベルはありがたいよねえ……。



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# by tsukasa-kawa | 2017-08-20 12:34 | 日常雑記

8月19日のお話

 拍手レス
>怪談というか都市伝説のお話は定番のネタを紹介されているのだとは思いますが、聴猫芝居さんの『あなたの街の都市伝鬼!』と被っていて懐かしくなりました
 都市伝鬼とは懐かしい。あの方、あれがデビュー作なんですよなあ。
 怪談ネタは、仰る通り定番のネタをなるべく選ぶようにしていますね。まずわかってもらえないと、という部分があるので。
 あと、現象よりはなるべくキャラクターで。とはいえ、定番だけだとさすがにネタが切れてくるので、そろそろマニアックな方へ手を伸ばすかもしれません。


 さて、ここのとこ原稿で夜更かしが続いて起きる時間が遅くなっております。昼夜が逆転する前に何とかせねば。
 で、ドッペルゲンガー。身の回りのひとたちが、自分のあずかり知らぬ場所で自分そっくりの人間と出会っていき、最後には本人が自分そっくりのその人物と遭遇し、ほどなく突然死を遂げてしまうというものです。ただそっくりというだけでなく、知人、友人らと親しく話をしているので、本人の記憶、知識を備えていることは間違いないでしょう。
 最近は、本人の知らないところで本人よりも華々しい活躍をしてプレッシャーをかけ続け、ついには本人が「本物の自分の方がいらない存在なのではないか」と絶望して死を選ぶというバージョンもあるらしく(能力的な面、自分以上の活躍、というあたりが非常に現代風で、流行るのもわかりますね)、実に厄介な存在ではあります。
 ただ、元の話でも、ドッペルゲンガーが直接本人に手を下す、というのはなさそうなんですよね。突然死、という部分がちょっとアレですが。
 基本的には、何らかの形で心理的に追い詰めていくのがドッペルゲンガーのやり方のようです。逆手に取るなら、とにかく底抜けに明るくて前向きで楽観的な人間なら、ドッペルゲンガーはあまり効果がないと踏んで近づかないということでしょうか。しかし、良くも悪くも情報拡散をさせやすく、誰かのふりをしやすいこの時代は、ドッペルゲンガーにとっては楽しくてたまらないかもしれません。



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# by tsukasa-kawa | 2017-08-19 19:10 | 日常雑記

8月18日のお話・他

 ここのところ不調で本屋に行けていなかったのですが、3日前の15日はノベルゼロの発売日だったのでした。
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細音啓   ワールドエネミー2

ハンターと怪異と呼ばれる怪物たちの戦いを描いた細音さんの作品も堅調に2巻目。今回の敵は人狼。興味を持たれたら是非。

 んでは、毎度の挨拶流れの駄弁りを。赤い部屋ですね。とあるアパートに引っ越してみると、壁に穴が開いてある。覗いてみると、それなりの厚さの壁な割に、穴は隣の部屋まで通じていて、穴の向こうは真っ赤になっている……という話です。
 いろいろと言いたいことはあるのですが、まず大家は新たな入居者が部屋に入ってくる前に壁の穴ふさいどけやと。これは赤い目の隣人もそう思ったのではないでしょうか。前のひとが引っ越していった、しかし壁の穴がふさがる様子はない、新しいひとが引っ越してきた、しかし壁の穴はやはりふさがる様子はない、それどころか新入りはしょっちゅうこちらを覗きこんでくる……。自分の方でまったく何の対処もしない赤い目のひとも駄目駄目ですが、新入りもあかんでしょうこれは。もうどちらが怪談かわかったものではありません。
 この赤い目のひと(多くの話では女性とされている)が、新たな入居者が入ってくる直前に急いで穴を開けた、という可能性もありますが、いつまでも穴をふさごうとせず、隣なのに挨拶にも来ない(今は行かないものなのだろうか)入居者に対して不審を抱いたとしても不思議ではありません。と考えると、現代のディスコミュニケーションが生んだ怪談といえるのかもしれません。まあ、引っ越した日に挨拶に行った隣人の目が瞳孔まで真っ赤だったら、何かの病気ですか、って質問からはじまって怪談じゃない別の物語が始まりそうですが。



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# by tsukasa-kawa | 2017-08-18 22:38 | 新刊紹介

8月17日のお話

 ベッドの下の殺人鬼。マンションで一人暮らしをしている女の子のところへ友人が遊びに来て、しばらくおしゃべりしていたと思ったら、その友人が急に買い物へ行こうとか何かしら理由を作って女の子を外へ連れ出し、ベッドに何者かが潜んでいたことをばらす、という話です。
 話の流れからして想定されるのは女子高生、女子大生あたりでしょうか、そのくらいの女の子が一人暮らしをするのがあるていど一般化して、そう珍しいことではないというころに生まれた怪談ですね。元ネタは外国にあるという話もありますが。
 ぱっと部屋を見回しても目につかない場所に恐ろしい存在が潜んでいるというのがキモなわけですが、年々ベッドのデザイン性や機能性が向上してバリエーションが増えていくほどに、忍び込む側の苦労は上がってしまうのです。
 ベッドの下に引き出しがついていれば、それを引っこ抜いてふただけ外して中身はどっかへやりつつ、ふたを戻して何もないように見せかけなければなりませんし、脚が短くてとても入り込めそうにない場合、無理して忍び込んでベッドがある程度浮き上がってしまうという、もう怪談ではなくてコントになってしまいます。
 また、ベッドの下がほとんど物置になっていたり、部屋自体が散らかっていて潜り込む隙間がふさがっていたりしたら、わざわざ掃除をしてやるなんてことになりかねません。押し入れやクローゼットの方がマシなんじゃないかと想ったことも一度や二度ではすまないのかもしれない。
 まあ押し入れは押し入れで別の怪談が潜んでいるので、そっちへ行こうとしたらエイリアンVSプレデターよろしく怪談VS怪談になってしまうのでしょうけど。



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# by tsukasa-kawa | 2017-08-17 12:49 | 日常雑記

8月16日のお話

 さとるくん。接触方法が「公衆電話から自分の携帯電話にかける」というものなので、比較的新しい(といっても生まれてから10年以上は過ぎているのだけど)怪談ですね。公衆電話が関わる怪談というのはさがしてみると割とあるのですが、そこに携帯電話を組み合わせたあたり、さとるくんはなかなか手の込んだ方法を考えたものだと思うのですよ。
 ですが、NTTが発表しているように公衆電話は年々減っており(インフラとして、また緊急時に必要な台数は残すらしいですが)、実際に接触するとなると、まず最寄りの公衆電話からさがさなければならず、意外にハードルは高いかもしれません。せっかく見つけても故障していたり、近所のおじいちゃんおばあちゃんが使っているとかありそうだし。
 携帯電話もいずれスマホに取って代わられるかもしれませんが、そうなったら公衆電話とスマホを使うように内容が変わるのか。それとも、そうした接触方法を持つ新たな怪談が出てくるのか、気になるところです。しかしインフラに頼るタイプの怪談は、後々まで残るタイプのインフラに頼らないといずれ存在が忘れ去られるなとあらためて思った次第でした。それを考えると、学校のトイレを媒介にしたり、紙を媒介にするタイプの怪談の力強さがわかりますね。


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# by tsukasa-kawa | 2017-08-16 12:12 | 日常雑記