一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです

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2017年 08月 13日 ( 1 )

8月13日のお話

 人面犬ですよ。最近は妖怪ウォッチにも登場したそうで(伝聞で、見てはいないけど)、今の子供たちにも存在は知られているかもしれません。僕の知っているものとは違っているかもしれませんが。
 で、僕の知る人面犬は「繁華街で残飯をあさっている野良犬を見つけたと思ったら、人面犬だった」「こちらを振り向いて「ほうっておいてくれよ」と言い捨てて歩き去った」あたりの怪談になるわけですが、身もふたもないこと言うと凄味も恐怖感もないよね。他の人面獣身が、外国ではスフィンクスやマンティコア、セイレーンといった神秘性や知性や恐怖を感じさせる存在であるのに対し、こちらは残飯あさりですよ。というか、人間の顔で残飯あさりって効率悪いだろう。犬の顔の方が前に長い分、いいって。歯も固いし顎の力もあるし。そりゃ「ほうっておいてくれよ」と言いたくもなるわな。
 日本における人面獣身では他に「くだん」と呼ばれる、人の顔に牛の身体を持った存在が漫画やゲームでも結構扱われていて、知られている方ではないかと思うのですが(個人的な記憶では、たしか宗田理がこれで一冊書いてた)、こちらは予言能力を持っており、やはり見劣りしてしまう。高速道路を時速百キロで走れるなんて話もありますが、怪談の界隈にはターボばあちゃんをはじめ百キロ選手なんて割といるので、際だった能力でもない。
 しかし、考え直してみれば、こういった危険ではない不思議なだけの存在も怪談の中には稀にいるわけで、恐怖や凄味を求めることこそ間違いなのかもしれません。



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by tsukasa-kawa | 2017-08-13 12:32 | 日常雑記