一〇八(仮)

asakust.exblog.jp

ライトノベル作家川口士のブログです。「魔弾の王と戦姫」18巻、11月25日発売です。よろしくお願いします。

ブログトップ | ログイン

2017年 08月 30日 ( 1 )

8月30日のお話

 幽霊を見たことはありますか? 僕はありません。たぶん。見たいかと聞かれたらNOです。だって怖いし。あと何か理不尽だし。
 しかし、見たいとも思っていないのに幽霊が見えてしまうひとが、怪談には割といるのです。そして、そのひとたちは幽霊の存在に気づいてもそしらぬふりをするのですが、幽霊の方はすれ違いざまに「よくわかったな」やら「見えているくせに」やら言ってくるのです。嬉しそうだなおまえ。

 この怪談の特徴は、人通りの多い場所で、幽霊は人混みにまぎれているというところでしょうか。たいてい幽霊のいるところってひとけがありませんからね。
 そして、この種の幽霊は、ごくふつうの人間に対して積極的に姿を見せつけることができないようなのです。あるいは、たとえばタクシーに乗ってくる幽霊のようにいくつかの条件(時間的なものや環境的なものなど)がそろえば可能なのかもしれません。
 しかし、なぜわざわざ話しかけてくるのか。気づいていないふりなんて無駄だ、と教えるのが目的でしょうが、恐怖感を与えるならば、むしろ無言でついてくる方がよほど怖い。幽霊の側が気づいているということも、それで教えることができます。
 幽霊の行動からわかることは、自分は幽霊だという自覚がある、たいていのひとは自分たちに気づかないことを知っている、こちらが見たことに気づいている、すれ違うまで声をかけてこない、というところです。
 すれ違いざまに何か仕掛けてくる可能性はありますが、それなら何か言うより行動した方がいいわけで、ただからかってきただけに思えるのですね。周囲の人間がばたばた倒れるようなこともないので、断言はできませんが無害に近い存在なのではないでしょうか。
 とはいえ、他のひとには見えていないわけで、うっかり返事をしようものなら、怪談に巻きこまれる以前に「見えない何かに話しかけてるよ」と、周囲からヒソヒソささやかれてしまうでしょう。楽しいのは幽霊だけ。幽霊が見えても何もいいことないな、うん。



web拍手を送る
by tsukasa-kawa | 2017-08-30 21:32 | 日常雑記