一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです。「魔弾の王と戦姫」18巻、それから片桐雛太さんの魔弾画集、11月25日発売です。よろしくお願いします。

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2017年 10月 21日 ( 1 )

10月21日のお話

 イカれたメンバー紹介するぜ!
 虐待する飼い主のもとから脱走したあと、なぜかブレーメンに行って音楽隊に入ろうと考えた年寄りのロバ!
犬「以上だ!」

 昨日、期日前投票をしてきました。僕らみたいな娯楽の作り手側は、受け手の懐と時間に余裕がないと厳しいお仕事なので、何とかいい方向へいってほしいところです。
 そんな世知辛い挨拶をすませたところで、それでは「ブレーメンの音楽隊」まいりましょうか。

 昔々あるところに、働きもののロバがいた。しかし、ロバは年をとって、昔のようには働けなくなった。
 飼い主はそんなロバを虐待するようになり、ロバは飼い主のもとから逃げだした。
 ロバはブレーメンに行けば音楽隊に雇ってもらえるかもと思い、旅をはじめた。道中で同じ境遇の犬、猫、鶏に出会い、みんなでブレーメンを目指すことにした。
 日が暮れたころ、ロバたちは森の中に明かりのある家を見つけて、そこで休もうとする。
 その家には泥棒たちがいて、ご馳走を食べながら金貨をわけていた。
 ロバたちはお化けを装って(ロバの上に犬が乗り、犬の上に猫が乗り、猫の上に鶏が乗るアレ)泥棒たちをおどかし、追い払う。
 ご馳走を食べていると、泥棒たちが戻ってきたので、引っ掻いたり蹴飛ばしたりして追い払う。
 泥棒は二度と戻ってこず、ロバたちはその家で仲良く暮らした。めでたしめでたし。

 ロバ界の事情には疎いのですが、脱サラしてラーメン屋をはじめるのとどっちがハードル高いんでしょうね、これ。
 ブレーメンの音楽隊には動物枠があるか、それとも音楽隊自体がそういう何かなのでしょうか。まあ、どうせブレーメンには着かないし、いいか。
 そう、この年寄りどもはブレーメンに着いていないのです。バージョンによっては楽器を扱ってすらいません。
 載っているバージョンだと、担当は
 ロバ:リュート(弦楽器。ギターのようなもの)
 犬:ティンパニ(太鼓。ドラムのようなもの)
 猫:不明(ボーカルと思われる)
 鶏:不明(声を褒めているのでボーカルと思われる)
 というところですが、何をやるのか想像がつきません。仮面ライダー響鬼だってもう少しマシなセッションだったように思えます。
 しかも彼らは、最後にはブレーメンも音楽隊も忘れているのです。食い物と住みかが手に入ったので満足したというあたりは実に畜生ですが、それならタイトル変えようよ。四匹のじいさん、とかさ。ブレーメンを巡回する私設自警団みたいなノリの話でさ。
 驚くべきは、ブレーメンに彼らの銅像があることでしょう。着いてないのに。土佐を脱けたのに高知に銅像のある龍馬のようです。
 彼らの生き様を、音楽に絡めて言うならロック以外にないと思われます。抑圧からの解放、自立した、新たな道を求める生き方、泥棒を撃退するほどの強烈な自己表現、ブレーメンも音楽も関係ない矛盾、やはりロックしかない。ヤケで言ってるように見えますか? はい、ヤケです。
 とはいえ、この結末は、行動を起こしたからこそつかみとったものであることはたしかです。どんな音楽も、まずは行動を起こすこと、触れることからはじまるといいます。そう思えば、この年寄りたちは立派な音楽隊だったのでしょう。



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by tsukasa-kawa | 2017-10-21 21:14 | 日常雑記