一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです

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8月17日のお話

 ベッドの下の殺人鬼。マンションで一人暮らしをしている女の子のところへ友人が遊びに来て、しばらくおしゃべりしていたと思ったら、その友人が急に買い物へ行こうとか何かしら理由を作って女の子を外へ連れ出し、ベッドに何者かが潜んでいたことをばらす、という話です。
 話の流れからして想定されるのは女子高生、女子大生あたりでしょうか、そのくらいの女の子が一人暮らしをするのがあるていど一般化して、そう珍しいことではないというころに生まれた怪談ですね。元ネタは外国にあるという話もありますが。
 ぱっと部屋を見回しても目につかない場所に恐ろしい存在が潜んでいるというのがキモなわけですが、年々ベッドのデザイン性や機能性が向上してバリエーションが増えていくほどに、忍び込む側の苦労は上がってしまうのです。
 ベッドの下に引き出しがついていれば、それを引っこ抜いてふただけ外して中身はどっかへやりつつ、ふたを戻して何もないように見せかけなければなりませんし、脚が短くてとても入り込めそうにない場合、無理して忍び込んでベッドがある程度浮き上がってしまうという、もう怪談ではなくてコントになってしまいます。
 また、ベッドの下がほとんど物置になっていたり、部屋自体が散らかっていて潜り込む隙間がふさがっていたりしたら、わざわざ掃除をしてやるなんてことになりかねません。押し入れやクローゼットの方がマシなんじゃないかと想ったことも一度や二度ではすまないのかもしれない。
 まあ押し入れは押し入れで別の怪談が潜んでいるので、そっちへ行こうとしたらエイリアンVSプレデターよろしく怪談VS怪談になってしまうのでしょうけど。



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# by tsukasa-kawa | 2017-08-17 12:49 | 日常雑記

8月16日のお話

 さとるくん。接触方法が「公衆電話から自分の携帯電話にかける」というものなので、比較的新しい(といっても生まれてから10年以上は過ぎているのだけど)怪談ですね。公衆電話が関わる怪談というのはさがしてみると割とあるのですが、そこに携帯電話を組み合わせたあたり、さとるくんはなかなか手の込んだ方法を考えたものだと思うのですよ。
 ですが、NTTが発表しているように公衆電話は年々減っており(インフラとして、また緊急時に必要な台数は残すらしいですが)、実際に接触するとなると、まず最寄りの公衆電話からさがさなければならず、意外にハードルは高いかもしれません。せっかく見つけても故障していたり、近所のおじいちゃんおばあちゃんが使っているとかありそうだし。
 携帯電話もいずれスマホに取って代わられるかもしれませんが、そうなったら公衆電話とスマホを使うように内容が変わるのか。それとも、そうした接触方法を持つ新たな怪談が出てくるのか、気になるところです。しかしインフラに頼るタイプの怪談は、後々まで残るタイプのインフラに頼らないといずれ存在が忘れ去られるなとあらためて思った次第でした。それを考えると、学校のトイレを媒介にしたり、紙を媒介にするタイプの怪談の力強さがわかりますね。


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# by tsukasa-kawa | 2017-08-16 12:12 | 日常雑記

8月15日のお話

 今日は終戦記念日なので、あの戦争を体験し、亡くなられた方々に黙祷を捧げたいと思います。
 ところで、はたして東南アジアにも都市伝説はあるのでしょうかね。こんなことをしたら日本兵の亡霊が出てくる、というような。
 で、ムラサキカガミですよ。「20歳までにこの話を忘れなかったら」という条件を考えると、18、19歳あたりに聞かせるのが妥当な気がするのですが、そんな年齢の若者が好んで怪談をするかというと、そんな暇があったら遊んでるんじゃないかなと思うし、深刻に受け止めずに翌日には忘れ去っている可能性が高いです。
 まして連日ネットから東西南北のニュースが流れ込み、数日前のことすら思い出せなかったりする超情報化社会でですよ。まじめに受け止めて覚えているひとなんてどれだけいるんでしょうか。覚えている方が偉くないかって感じです。
 ではまだそこまで情報の波にさらされていない小中学生ではどうか。どのようにして死ぬかについて、恐怖感をとにかく煽るような感じで記憶に刻み込めばいけるかもしれません。思えば口裂け女などは、鎌や鋏を使って襲ってくるという部分にもインパクトがあったものでした。
 全身が紫色になって死ぬ、などはギャグに聞こえますが、一周まわって人々の記憶に強烈に残る可能性があります。鏡なんだから、毎日自分の顔が変わっていくさまを強制的に見させられるという手もありでしょう。でなければ、この情報化社会を逆手にとって、毎日のようにDMを送りつけるのも一つの手です。
 あきらかに紫とも鏡とも関係ないところで力を要求されますが、変化する社会に対応するというのはそういうことなのかもしれません。
 


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# by tsukasa-kawa | 2017-08-15 21:24 | 日常雑記

8月14日の日記

 そろそろネタ切れが近いですが、まあ行きましょう。ターボばあちゃんですよ。僕が小さいころはターボババアと呼ばれていましたが。というか、この手の怪談に出てくる場合ってババア、ジジイだよね、呼び方。ばあちゃんだと凄味ないし。少しずつ怪談もマイルドになっているのやもしれぬ。
 どうもこのばあちゃん、基本的に無害らしく高速をメインコースにしているだけのジョガーじゃねえの感があるのですが、亜種にはバスケットボールをぶつけたりボンネットに乗っかってくる(映画の影響な気がする)タイプなどがいるそうで、怪談界隈は存外ばあちゃんが多いようです。
 おそらく、高速道路やトンネルがまだ諸々整備の進んでいないころ(まだ夜の高速が暗かったころや、車のライトが今ほど明るくなかった時代)に生まれたと思われるので、整備された今では更に力を増しているのではないでしょうか。あえて残像を見せたり、窓に落書きぐらいはやってくれそうな気がします。服装も今風だったりね。


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# by tsukasa-kawa | 2017-08-14 16:19 | 日常雑記

8月13日のお話

 人面犬ですよ。最近は妖怪ウォッチにも登場したそうで(伝聞で、見てはいないけど)、今の子供たちにも存在は知られているかもしれません。僕の知っているものとは違っているかもしれませんが。
 で、僕の知る人面犬は「繁華街で残飯をあさっている野良犬を見つけたと思ったら、人面犬だった」「こちらを振り向いて「ほうっておいてくれよ」と言い捨てて歩き去った」あたりの怪談になるわけですが、身もふたもないこと言うと凄味も恐怖感もないよね。他の人面獣身が、外国ではスフィンクスやマンティコア、セイレーンといった神秘性や知性や恐怖を感じさせる存在であるのに対し、こちらは残飯あさりですよ。というか、人間の顔で残飯あさりって効率悪いだろう。犬の顔の方が前に長い分、いいって。歯も固いし顎の力もあるし。そりゃ「ほうっておいてくれよ」と言いたくもなるわな。
 日本における人面獣身では他に「くだん」と呼ばれる、人の顔に牛の身体を持った存在が漫画やゲームでも結構扱われていて、知られている方ではないかと思うのですが(個人的な記憶では、たしか宗田理がこれで一冊書いてた)、こちらは予言能力を持っており、やはり見劣りしてしまう。高速道路を時速百キロで走れるなんて話もありますが、怪談の界隈にはターボばあちゃんをはじめ百キロ選手なんて割といるので、際だった能力でもない。
 しかし、考え直してみれば、こういった危険ではない不思議なだけの存在も怪談の中には稀にいるわけで、恐怖や凄味を求めることこそ間違いなのかもしれません。



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# by tsukasa-kawa | 2017-08-13 12:32 | 日常雑記