10月20日のお話

 カメェェェッー!

 カメっていやな敵ですよね。ドラクエをやればガメゴンに苦しめられ、FFをやればギルガメに苦しめられ、マリオカートをやれば赤甲羅を後ろから投げつけられ。
 そんなカメも、昔話ではまた違う役割を与えられます。それではイソップから「兎と亀」いってみましょうか。もしもし亀よ、亀さんよ、って歌があるから日本の民話だと小さいころは思ってました。どうでもいいですね。

 発端は、ウサギがカメの足の遅さを馬鹿にしたところからはじまりまして。カメが怒って駆けっこで勝負を挑むわけです。
 そして、ウサギはぐんぐん先へ行くわけですが、そこで勝ったと思ってしまい、居眠りをはじめる。その間にカメはウサギを追い抜き、勝利する。

 馬鹿にされて、自分が不利な勝負を挑む。バトル漫画の原点といってよいでしょう。ええ、バトル漫画です。
 カメの地道な努力を評価する向きがありますが、そもそも相手の失点がないと勝てない勝負を挑む時点で、このカメはそうとうおかしい。本当に勝つ気があったのか疑われるところです。ウサギが居眠りしていることに気づくまで、どういう心境だったでしょうか。もう相手がゴールしているだろうと思いつつ、言いだしたことだしとでも思いながら、歩いていたのではないか。それを地道な努力というのでしょうか。
 他地域に伝わったものの中では、カメが日時とコースを指定し、事前に仲間を潜ませておくことで勝利するという、これまたバトル漫画のような流れを持つものがありますが、少なくともこのカメは勝つつもりがあり、そのために動いている。
 とはいえ、現実には相手の失点によって道が開けるということがたくさんあります。地道な者が勝つというのではなく、こういう運のいい者っているよね、というのが兎と亀なのかもしれません。



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by tsukasa-kawa | 2017-10-20 01:35 | 日常雑記

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