一〇八(仮)

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ライトノベル作家川口士のブログです。「魔弾の王と凍漣の雪姫」9月21日発売となります。よろしくお願いします。

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12月27日のお話

 クリスマスはいかがでしたか。僕は幾人かと酒を飲んだりチキンやケーキを食べたりしていました。
 昔はクリスマスは友人同士だとか恋人同士だとかでぱーっと騒ぐものなんてイメージがあったのですが、最近はちょっとご馳走に奮発するけどそれほど特別ではない日という扱いらしく、恋人同士の逢瀬もクリスマスではなく曜日や他のスケジュールに合わせるとかで、それはそれでまっとうでござるなとしか言いようがなく。
 イベントとしての定着から、伝統行事、風習的なものへと変わりゆく、あるいは戻っていく時期に、僕たちは身を置いているのかもしれません。5年後、あるいは10年後には、さまざまな記念日などと同列に扱われているのかも。

 さて挨拶を終えたところで、今宵は「あの坂をのぼれば」です。「小さな町の風景」という題の掌篇小説集のひとつですね。「あの坂をのぼれば、海が見える」という一文を覚えている方もいるかもしれません。

 少年が、朝から山道を歩いている。
 小さいころ、祖母から子守唄のように「うちの裏の、あの山を一つ越えれば、海が見えるんだよ」と聞かされていた。 
 あるとき、少年は自分の足で海を見てこようと思いたち、山道を歩きはじめるが、山ひとつというのは言葉の綾だったらしく、行けども行けども海は見えてこない。
 もうやめようと諦めかけたとき、少年は次の峠を越えてゆく海鳥を発見し、再び歩きだす。

 正直、大雑把なあらすじを見るよりも原文をあたってほしい作品だと思います。情景、そして心理描写がこう、ときめくものがあるのですよ。
 そんな僕の感想はさておくとして、せめて地図は見ろや。
 いや、思いたったが吉日っていうのはわかりますよ。若さと勢いに任せて山へ飛びこむのはけっこうですよ。
 でも山を二つ三つ越えている時点でけっこうな難所だよね、ここ。水と食糧と帽子と登山靴ぐらいは必要なんじゃないだろうか。しかもここまでの描写で地元民らしきひとに会っていないあたり、使われていない山道ではないかという疑惑まで出てきますよ。鳥を発見してのくだりは感動するけど、旅人かおまえは。
 僕もいくつか山を登ったことはありますが(もちろんひとりではなくね)、高尾山ぐらいでも迷うときは迷うだろうなあと思うことがありまして。
 いまの時代なら電波さえ届けばスマホやガラケーで何とかなりそうなあたり、文明の利器と地図は大事ですよね。電波が届かなかったら? がんばれ。
 とはいえ、思いたって、その勢いのままで何かに挑戦してみるのはいいことだと思います。あと、地元民の感覚をうかつに信じてはいけない。



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by tsukasa-kawa | 2017-12-27 00:05 | 日常雑記