9月22日の話

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 的良みらんさんの手による漫画版「魔弾の王と凍漣の雪姫」第0話~第2話(後)及び、第8話(前)、ニコニコ静画さん内「水曜日はまったりダッシュエックスコミック」にて好評連載中です。
 次回の更新は今週末の9月25日(土)、なお現在掲載中の特別短編水着回(後編)は25日の11時までの期間限定公開ですので、まだ見ていないという方はいまのうちに。今週末からは本編に戻りますですよ。
 ここで前回のおさらいをしておきますと、「行方不明となったエレンたちをさがして森の中に入ったティグルたち。そこへ現れたのは、森の中で魔物の餌食となり、怪物と化した人間たちだった。怪物たちとの戦いの中で、森の中に閉じこめられたことを察したティグルは、魔物の気配をつかみ、黒弓で一矢を放つ」というところです。

 それにしても、森の中で迷うという話、洋の東西を問わないんですよね。怪談はもちろん、有名なおとぎ話だと「お菓子の家」なんかがまさにそうで、切り開いてつくられた道から一度でも外れると、まず戻ってこられないという認識が当時の人々にはあったのでしょう。森の中は基本的に薄暗く、時間感覚も曖昧になっていくでしょうから、森から出たら何十年、何百年も過ぎていた、という浦島太郎みたいなエピソードが散見されるのも、そうした感覚が誇張されたのだろうと思います。
 ちなみに富士の樹海と呼ばれて有名な青木ヶ原は、遊歩道もあり案内看板もあり展望台などもありという観光地だと最近知ってびっくりしました。もちろん全体が観光地化されてるわけではなく、そうしたところから外れて奥に入るとやはり危険だという話ではありますが。

 さて、一週間ぶりですね。台風も過ぎ去り、神社に立ち寄れば七五三のお祝いを謳う看板や飾りがあり、ちょっと大きなスーパーの服売り場に行けば夏物がもう完全に姿を消してしまった昨今、皆さまいかがお過ごしでしょうか。中秋の名月は見ましたか? 僕は見ませんでしたが、黄色いどら焼きを月に見立てて食べていました。食欲の秋ですからね。そういや僕がまだ小学生だったころ、校庭の落ち葉をかき集めて焚き火を熾して芋を焼いたんだけど、いまの子たちはそういうのやっとるんかな。

 ところで一昨日、敬老の日だったじゃないですか。
 老人を敬う、それはまあいつかは僕もあなたも老人になるわけですし、敬わないよりかはいいことだとは思うのですが……いつから老人なのだろう。

 敬老の日のはじまり(とされる行事があったの)は、1947年とされています。70年以上前と聞くとかなり昔ですが、100年たってないのか感もありますね。ともあれ、当時といまとでは平均寿命も違えば健康状態も違い、地域とお仕事によっては80歳が60歳を若僧扱いするというご時世であります。敬老の意味が変わってきそう。
 ファンタジー脳で考えると、300歳のエルフが100歳のエルフを若僧扱いしているのを20歳にもならない冒険者が呆然と見ている感じでしょうか。あいつときどき思いだしたように50年前の戦争の話するよな実体験だったらしいけど、俺の爺ちゃんそのとき子供だったけど、みたいな。何歳から老人なんだろう。心と身体が若ければおおむね関係ないのだろうか。100歳のエルフの口からふとした拍子に80年前に流行った言葉が出てきたらすごい微妙な空気になりそう。
 敬う対象が敬われる対象より少ないといろいろアレなので、老人の基準は少しずつ上がっていくでしょうけど、どうせなるならそれなりな老人になりたいものです。


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by tsukasa-kawa | 2021-09-22 23:00 | 日常雑記

ライトノベル作家川口士のブログです。「魔弾の王と叛神の輝剣」他、発売中です。よろしくお願いします。


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