2017年 10月 12日 ( 1 )
10月12日のお話
小さなものから大きなものまで世の中にはさまざまな嘘がありますが、僕の知る中でいちばんスケールのでかい嘘はこのあたりでしょうか。なにせ人類ですからね。期限を区切ってはいないので、いつか人類が滅亡したときは本当のことになるのでしょうけれど。
僕自身もこれまでに嘘をついたことは何度もありますが、嘘だとわかっても笑いごとですむ類の嘘は、まあ楽しいんですよね。たとえば、ある言葉の発音や意味を、わざと違うものを教えるとか。そのゲームには存在しないイベントをでっちあげるとか。15ターンで倒してもエスターク仲間になんねえじゃねえか!(Ⅴの話です)
だまされた話をひとつしたところで、イソップから「狼と羊飼い」です。狼少年て言葉があるぐらい有名な話ですね。羊飼いの少年が「狼が来たぞー」と叫んで大人を呼んでからかい続けていたら、本当に狼が来た時に誰も駆けつけてくれず、羊をことごとく食われてしまったという話です。
嘘をつき続けると、本当のことを言っても信じてもらえない。そういうことを伝える話といわれています。たしかに、現代でも通じるテーマではあります。信用をなくすまで嘘をつくのはよくないでしょう。
しかし、嘘をつかないで生きられる人間が、どれだけいるでしょうか。人間がどのようにして生まれてくるのかを、子供に詳しく説明する大人はいません。ブサイクな人間にブサイクとストレートに言えるひとは多くないでしょう。病院嫌いの家族を気遣って、健康診断だとごまかして病院に連れていったという話は何度か聞いたことがあります。誰かをからかったり、見栄を張ったり、あるいは誰かと話を合わせるためだったり、誰かをかばうためだったり、何か理由があって嘘をついたことはありませんか。
人間が嘘を必要とするのも、また事実です。
嘘はひとつの武器であって、重要なのは使い方ということでしょう。誤った使い方をした場合は、戒められるべきなのです。その点で、このお話の大人たちは羊飼いの嘘に気づいていながら戒めることもなく、羊飼いの仕事を他のことに代えるでもなく、ほったらかしにしています。
羊を存分に食べて味を占めた狼は、また何度か姿を見せるようになるでしょう。いつか狩り場を変えるまで。それまで、大人たちは狼を警戒しなければなりません。自分たちの身や他の家畜を守るために。
それはついては駄目な嘘なのだと、誰も教えなかったことこそが、このお話の悲劇なのでしょう。
おはようございます。国外の昔話というと、狼と羊飼いがありますが、当時の狼のおっかなさを考えると、狼が来たぞ-、とはじめて嘘をついた時点で、大人たちは羊飼いの少年を問い詰め、何らかの罰を与えて戒めるべきだったと思うのです。それでは本日もお仕事に。
— 川口士 (@kawaguchi_tsu) 2017年10月10日
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